先週フィナーレを迎えた北欧映画祭「トーキョーノーザンライツフェスティバル」、最終日は記録的な大雪となりましたが、来場された皆様は、無事ご帰宅できたでしょうか?
さて、そんな北欧映画祭、最終日の朝に上映された、
ヤン・トロエル監督「ハムスン」を見てきました。
約3時間と非常に長い作品ですが、難しいテーマで細部を汲み取るのが難しく、
一度見ただけでは、飲み込みきれない部分が所々ありました。
ですが、見終わった後に頭を整理していくと、改めて見えてくる部分があり、
すぐに「もう一度見たい!」と思いました。
以下にあらすじと感想を。
「ハムスン」 監督:ヤン・トロエル
ノルウェーを代表するノーベル賞作家の詩人クヌート・ハムスンの半生を描いた作品。
第二次大戦下、ノルウェーを占領したナチス。
ノルウェー国民の多くはナチスに敵対心を抱き、次々と若い兵士たちが出兵していく。
そんな中、ハムスンはナチスの思想の一部に共感する記事を新聞に寄稿する。
「言葉の魔術師」と呼ばれる彼の言葉は大きな影響力を持ち、大きな波紋を呼ぶ。
そんな彼の言葉の影響力に目をつけたナチスは、彼に接近する。
彼の言葉が持つ圧倒的な影響力ゆえに、真意とは別の意味にすり替えられ、捻じ曲げられた言葉だけが彼の言葉として利用されていく。
やがてドイツは降伏し、彼は祖国ノルウェーを裏切った戦犯とされ、妻マリーと共に苦痛に満ちた日々を送る。
しかし、戦犯として法廷に立った裁判で、そこで彼は祖国に対しての自らの思いを包み隠さず話す。
ただ祖国の永続を願い、若い同胞が命を落とすことを憂いていたにも関わらず、
裏切り者のレッテルを貼られ孤立していくサムスンの苦悩が描かれていて、切ないお話ですが、ところどころにユーモアが散りばめられていて重すぎない作品です。
また、一見不仲に見えるハムスン夫婦の、他者には分からない愛情の形も可笑しみがあります。
映画祭は終わったしまいましたが、DVDなどで今後見る機会がありましたら、ぜひオススメしたい作品です。
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